本日は、ロゼット植物から
ということを学んでいきましょう。
動画でも解説していますので、良ければこちらもお聞きください。
なぜ植物は冬に枯れるのか
冬は木の葉っぱが落ち、植物も枯れます。

そもそも、なんで植物は冬に枯れるの?

いい質問だね!植物学的には3つのストレスが影響されていると考えられます。
低温ストレス
植物は,その生育環境において光合成と呼吸の至適温度をもっている.そして,至適温度より温度が低下すると,光合成と呼吸活性はともに減少し,ある温度以下では正味の光合成生産はまったく行われなくなる.
光合成低温ストレス – 光合成事典 – 日本光合成学会

つまり温度が下がるとエネルギーを生み出せなくなり、結果的に枯れてしまうのです。

凍結ストレス
一般に植物体の温度は外気温とほぼ等しく,氷点下では組織は凍結の危険に曝される
凍結ストレス – 光合成事典 – 日本光合成学会

凍結によって植物の細胞が破壊されるんですね。
この凍結ストレスについては植物種や組織により多岐にわたりますが、植物にとってはかなり不利になるものです。

乾燥ストレス
植物が乾燥により水分欠乏状態になったときに起こるストレス.
乾燥ストレス – 光合成事典 – 日本光合成学会
乾燥ストレスに曝された植物は乾燥状態が進行するとともに伸長成長の抑制,光合成の抑制(略)など,様々な生理的な応答をする

植物の成長に必須な水が不足するということは植物にとって生命の危機なのです。


冬ってすごくストレスがかかるんだね。

そうだね。だけど、冬でも雑草は生えているよね。

確かに!”雑草”だからド根性で冬を耐えてるんじゃない?

それは少し間違っているね。雑草は冬ということを味方にしてるんだよ!
省エネ植物が冬を制す
通常、植物は光合成によってエネルギーを生成します。
そして、そのエネルギーを茎を伸ばすことや花をつけることなどに使用します。


エネルギーをたくさん作らないと植物が成長できないというわけですね
しかし、冬になり光合成が思うようにできない場合、それでも植物は生き残らないといけません。
エネルギーを使いすぎるのではなく省エネで生きていく必要があるのです。
つまり、冬はエネルギーをできるだけ温存させることが重要であるとも言えます。

その省エネ植物とはどんな植物のことなのか、ご紹介していきます。
ロゼット植物とは
ロゼット(rosette)・・・薔薇(rose)から由来



確かに薔薇に見えなくもないかも?
結構道端でみる、ありきたりな雑草だね

よくある、たんぽぽやオオバコもこのロゼット植物なんだね
短い茎の部分に多数の葉が密集し、 全体として丸い形状をなすもの
日本植物生理学会
特徴としては、地面を這うように葉や茎を伸ばすことがあげられます。
ロゼット植物はなぜ葉を放射状に広げるのか
効率良く光を吸収する
さて、この形である意味について考えてみてください。

葉の広がり方に特徴があると思いませんか?
葉が放射状に並んでいます。

なんで、こんな広がり方をしてるのかな?

よくある形なのであまり考えたことがないかもしれませんね

葉を放射状に広げることで葉の重なりが少なくなり、光が当たる面積が増えます。
これによって、気温が低いだけではなく、光が少ない冬でも効率よく光を吸収することができます。
そしてこのロゼット植物、どんな植物も苦しい冬にこそ、戦略が隠されているのです。
一足先に次の行動を
植物は厳しい冬にストレスから枯れてしまいます。
しかし、ロゼット植物は冬でも葉を広げてエネルギーを温存しているのです。
そのことによって、春になった時の行動に差が出てきます。
春になると普通の植物は芽を出します。しかしロゼット植物は冬にすでに葉を広げているので、春には花を咲かせることができるのです。

ライバルの少ない冬に葉を広げ、ライバルが目を覚ましたころには花を咲かせる
つまり、一足先に次の行動ができるというわけなのです。

これこそがロゼット植物の戦略なのです。賢いですね。
人生に置き換える
光の当たらない辛いときに、どうやって光を集めるか。
そして省エネで歩めるか。

辛いことを嘆くのではなく、できるだけアンテナをたくさん張って、少しでも光を集めるということを考えてみる。
そして今持っているエネルギーを切らさずに歩んでみることを考えてみてください。
それがライバルよりも先に行動できるように準備することであり、それこそが生存戦略なのです
ロゼット植物のご紹介
気ままに自然観察 ーロゼット図鑑ー
ロゼット植物を科目、植物、季節ごとにまとめているWEBサイト
雑草の生き方に関する参考図書の紹介
ではまた!
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